不思議でたまらない〜輸入車のPHEV〜

宇宙人も「ナゼ?」と不思議に感じているクルマ界の疑問に迫るこの企画。今回はどんな疑問かというと……、「輸入車のPHVはなぜ急速充電に対応しないの?」だ。

スクリーンショット 2016-03-02 11.50.50現在日本で販売されている輸入車のPHVは、VWゴルフGTE、ベンツC350eアバンギャルド、ベンツC350eステーションワゴンアバンギャルド、ベンツS550eロング、BMW X5xドライブ40e、BMWi8、アウディA3スポーツバックe-トロン、ポルシェパナメーラS E-ハイブリッド、ポルシェカイエンS E─ハイブリッドという9車種。確認してみると、いずれのPHVも急速充電には対応していない。

日本車だと、三菱アウトランダーPHEVは急速充電に対応。200Vの普通充電では約4時間(フル充電)がかかるところ、急速充電器だと約30分(80%充電)で充電することができる。

30分程度で充電できるなら、外出先などで簡単な用事を済ませている間に充電しておくことができるのでとっても便利。それに、自宅に充電設備を設置できないようなマンションなどの集合住宅に住んでいる人だと外出先でしか充電できないから、急速充電器がないと〝充電もできるハイブリッドカー〟という本来のPHVの特徴を活かした乗り方はできないのだ。

スクリーンショット 2016-03-02 11.51.06また経済産業省によると、急速充電器の設置場所の数がここ1年で倍増していて、現在は5878カ所(’15年12月18日)あるという。普及が進んでいることで以前よりも近くに充電施設が探せるようになっているのだから、利用できればやはり便利だ。

輸入車が急速充電に
対応していないのは?

ところが、輸入車で急速充電に対応しているのはEVのBMWi3(レンジエクステンダー車含む)のみで、PHVはどれも対応していないのだから残念。「急速充電器が使えれば買いたい」という日本のユーザーは少なくなさそうだけれど……。

どうして輸入車のPHVは急速充電に対応していないのか? インポーターに聞いてみたところ……。

「PHVは基本的に、平日はEV走行で通勤などに使って夜間に充電、週末にレジャーなどで遠くへ出かける場合にはエンジンも使って走るというユーザーを想定しています。

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VWゴルフのプラグインハイブリッドモデルであるGTE。日本では’15年9月に導入された

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ゴルフGTEと同じシステムを使う、日本ではアウディ初のPHVとなるA3スポーツバックe-トロン

 

 

 

 

 

 

 

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2ℓターボ+モーターに4WDが組み合わされるプラグインハイブリッドのBMWX5xドライブ40e

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ベンツはS550eに続いてCクラスのPHVモデルのC350eアバンギャルドを’15年12月に追加

 

 

 

 

 

 

 

 

また、急速充電がどうしても必要な状況というのはEVが外出先で電気がなくなるような場合だと思いますが、エンジンのあるPHVは電気がなくなって走れなくなるということはありません。それに、急速充電に対応するとその機能が加わるぶん、価格アップにもつながってしまうので、急速充電には対応していないといった理由もあります」とはBMW広報。

VWもほぼBMWと同様のコメントだったが、VWでは電気料金の安い夜間の充電を推進しているといった理由もあるとのこと。

いっぽうで、メルセデスベンツ日本、ポルシェジャパンが急速充電に対応しない理由に挙げたのが「本国の欧州と日本では、充電方式の規格が異なるため」というもの。

日本では〝チャデモ方式〟が統一方式として普及しているが、欧米メーカーは〝コンボ方式〟というチャデモ方式とは異なる充電方式を採用している。そのため日本のチャデモ方式の急速充電器は使うことができないという。

また、これらとは別の理由を挙げたインポーターも。

「アウディA3e─トロンは積極的に回生ブレーキを使うモードが設定されていて、このモードで都内などを走ると、ほぼフルに充電できてしまいます。確かに夜間充電する使い方が理想ですが、普通のハイブリッド車のような感覚で使っていただくこともできると考えています」(アウディジャパン)。

各インポーターともそれぞれ異なる理由を挙げているけれど、いずれにしても急速充電器は必要がないという考えが基本的にあるようだ。

急速充電できるのは
アウトランダーだけ

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アウトランダーPHEVはその名のとおりPHEV(Plug-in Hybrid Electric Vehicle)とElectric(電気)の文字を入れているだけに、ほとんどのシーンでEVとしての走行ができるのがウリ

確かに、国産車でも急速充電に対応しているPHVはアウトランダーPHEVだけで、ホンダのアコードPHVや先代型ベースのプリウスPHVは対応していない。そう、アウトランダーPHEVだけが例外的なのだ。

では、なぜアウトランダーPHEVだけが特異な存在になっているのか?

「アウトランダーPHEVは基本的にはエンジンが発電機となるシリーズハイブリッドで、しかも12‌kWhという大容量のバッテリーを搭載しています。その特性上、バッテリーを使ったほうが本来の走行性能を満たすことができる。つまり、電気で走らないと燃費が悪くなるわけ。だからいつでも充電できるように急速充電に対応しているんです。

それにアウトランダーPHEVに充電した電力を緊急時や夜間に家で使うといった取り組みも三菱は進めています。三菱の考えるエネルギーマネジメントの役割もあるので大容量バッテリーや急速充電への対応が必要といった理由もあります」とは、交通コメンテーターの西村直人氏。


 

というわけで、輸入車のPHVが急速充電に対応していない理由には、メーカーによる考え方の違いや欧州でのPHVの使われ方の違いなどがあるが、世界的にPHVは急速充電を使わないのが主流。急速充電器が使えるアウトランダーPHEVのほうが特殊な存在になっているということ。